世界には1日1.25ドル未満で生活する貧困層が約14億人いるといわれています。その多くは食糧や医療、教育など生きていくための基本的なサービスへのアクセスができず、日々の暮らしの窮乏に直面しています。
南米の大国・ブラジルでは経済成長に伴い貧富の格差が広がり、農村部を中心にたくさんの貧困層が存在します。農村地域における貧困層への支援として、ブラジルは世界で唯一、ベーシック・インカムを法制化しました(日本でも数年前からベーシック・インカムが注目されています)。この法律はまだ実施段階に至っていませんが、法制化に触発されて、草の根レベルでいくつかの実践が登場しています。
そのうちの一つが、サンパウロ州の小さな農村で行なわれている「NPOヘ・シビタス」による部分的なベーシック・インカム給付です。NPO設立者の1人ブルーナ・ペレイラさんは、環境問題のNPOスタッフとして自然保護地区の違法な木材伐採の監視を行なっていた際に、貧困ゆえに違法な伐採を行わざるをえない人々の現実を目の当たりにし、貧困問題の解決なしには、環境問題は解決しないことに気づいたといいます。
「ヘシビタス」は単にお金を配っているだけではなく、図書とおもちゃを車に積んでコミュニティを巡回し、子どもたちに無料で貸し出すなどの教育支援活動を行なうなど、総合的な支援を行なっています。こうした取り組みは、貧困者の教育に尽力し、抑圧からの「解放教育」を実践した教育者、故パウロ・フレイレの思想に根差しているものです。
今回、ブラジルの「ヘ・シビタス」の創設者のブルーナ・ペレイラさんと、マルクス・ヴィニシウス・ブランカグリオネ・ドス・サントスさんをゲストに、貧困地域におけるNGOの役割や支援のあり方について、日本の実践者との議論の場を設けます。地域や活動内容は異なっても、「貧困をなくすための取り組み」を共にめざすNGOや政府機関、支援機関の皆さまのお越しをお待ちしています。