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〈国際シンポジウム〉
自由貿易は私たちを"幸せ"にするのか?
-TPP・TTIP・TiSAが脅かす民主主義・環境正義・暮らし-
TTPやTTIP(米国とEUの貿易協定)、TiSA(新サービス貿易協定、日本も参加)など、いわゆる「メガFTA」が国際的な貿易のトレンドとなっています。WTOが漂流した後に登場したこれらメガFTAは、いずれも米国主導であり、極端な自由化をめざし、秘密交渉であるという点で共通しています。
1980年代以降に推し進められた自由貿易。当時経済理論として持ち出された「トリクル・ダウン」は、30年たった現在、実現しなかったことは数々のデータが証明しています。フランスのトマ・ピケティが指摘し、またOECDレポートでも指摘されているように、貿易の自由化は貧困と格差を是正するどころか、逆にその主要な原因となっているのです。
国際的には、著名な経済学者であるJ.スティグリッツ氏は、自由貿易の推進によって貧困や格差が広がり、米国における貧困者の医療アクセスが今以上に悪化することを指摘しています。また欧米を拠点とする国際NGOは、環境や開発という視点から、大企業優先のルールである自由貿易協定に反対しています。2015年6月、国連の人権専門委員10人が、TPPやTTIPなどの協定は、医療や医薬品、水道などの人間にとって欠かせない基本的サービスへのアクセスから、人々を阻害する危険があるとの勧告も出しています。
日本においてはTPPは「農産品の関税問題」といわれ続けてきましたが、その本質は「誰がルールをつくるのか」。つまり、「企業の利潤なのか、人間の生きる権利・幸福権なのか」という価値の対立にあります。こうしたグローバルな議論を日本国内でも喚起し、貿易はもちろん、貧困削減や格差是正、環境や人権に関してなど、社会政策のあるべき姿を深めるための国際シンポジウムを開催します。EUと米国から、それぞれ第一線で活躍するゲストを招き、TPPやTTIPの最新情報をお聞きしながら、昨今話題になっている「パナマ文書」も含めて、国際市民社会が貿易・投資、大企業の動きをどのように規制していけるかを議論します。
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■日 時:2016年6月19日(日)13:00〜16:45 ※開場12:30
■会 場:全国町村会館 2F ホール
※アクセスは
こちら
■参加費:1000円 ※同時通訳あり ※定員200名(予約優先)
■スピーカー
◆EU市民社会はなぜTTIPに反対しているのか
ローラ・ブルージュ(Corporate Europe Observatory (CEO)調査研究・キャンペーン担当者)
◆米国におけるTPP最新情勢と企業の動き
メリンダ・セント・ルイス(パブリック・シチズン「Global Trade Watch」国際キャンペーン責任者)
◆多国籍企業をどのように規制するか―パナマ文書とグローバル・タックス
上村雄彦(横浜市立大学教員)
◆自由貿易の本質をどうとらえるか―平和・人権・環境の観点から
首藤信彦(国際政治学者)
コーディネーター:内田聖子(PARC事務局長)
◆
事前申込みは締切ました。参加をご希望される方は直接会場にいらしてください
◆主催
NPO法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
◆助成
公益財団法人 庭野平和財団
◆お申し込み・お問い合せ
NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)
東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455
E-mail :office@parc-jp.org
★スピーカー紹介★
ローラ・ブルージュ/Lora Verheecke
ベルギー・ブリュッセルに拠点を置き、EU全域をカヴァーする調査・キャンペーン団体「Corporate Europe Observatory (CEO)」にて調査研究とキャンペーンを担当。専門は貿易問題で、特にTTIPに関するEUにおける活動のトップランナー。CEOは自由貿易とそれを牽引する大企業とロビイストたちの動きを日常的にウォッチし、社会正義や環境、貧困削減、人権、民主主義などの観点から批判を行っている。EUの内外の様々な市民組織や社会運動とも連携し、調査研究や情報発信を行う他、EU議会や各国の議員への政策提言やロビイ活動も積極的に行っている。
※CEOのウェブサイト:http://corporateeurope.org/
メリンダ・セント・ルイス/Melinda St. Louis
米国・ワシントンに拠点を置く市民団体パブリック・シチズンの「Global Trade Watch」(貿易・投資問題の担当部署)国際キャンペーン責任者。同団体は1971年にラルフ・ネーダー氏が設立した消費者団体で、現在は貿易や投資以外にも環境、人権など幅広い分野で国会議員や政府へのロビイ活動やキャンペーン、情報発信を行う。メリンダ氏は、ジョージタウン大学で国際開発政策の公共政策修士を取得。国際NGO「Witness for Peace(平和の証人)」のスタッフとして、中南米地域での平和や環境、持続可能な経済をめざす活動に従事。また途上国の債務帳消しを求める国際キャンぺーン「ジュビリー2000」の「ジュビリー米国ネットワーク」に所属し、アフリカ・アジア、中南米の債務問題解決の主要人物でもあった。TPP交渉、TTIP交渉に関しても交渉現場に赴き精力的に情報収集と発信を行ってきた。
上村雄彦/うえむら・たけひこ
横浜市立大学学術院国際総合科学群教授。大阪大学大学院法学研究科修士課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。カナダ国際教育局カナダ・日本関係担当官、国連食糧農業機関(FAO)住民参加・環境担当官、千葉大学地球福祉研究センター准教授等を経て現在は、グローバル連帯税推進協議会委員、グローバル連帯税フォーラム理事なども務める。著書に『世界の富を再分配する30の方法』(合同出版)、『グローバル・タックスの可能性―持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』(ミネルヴァ書房)等多数。
首藤信彦/すとう・のぶひこ
国際政治学者。元衆議院議員(民主党)。元東海大学教授。NGOインターバンド創設者。専門は危機管理、予防外交、テロリズム研究。民主党内ではいち早くTPPへの安易な加盟に対して反対を表明。以降、TPP交渉のウォッチと情報分析、発信を積極的に行ってきた。著書に『現代のテロリズム』(岩波書店)、『政治参加で未来を守ろう』(岩波書店)など多数。