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院内集会

世界の貿易体制はどこへ向かうのか?
〜TPP11/日欧EPA/RCEPそしてWTOの課題〜
ドイツ・オーストラリアの市民社会組織との意見交換




 2017年に米国でトランプ大統領が誕生して以降現在までの間に、世界の貿易をめぐる状況や課題は大きく変わりました。米国のTPP離脱や「米中貿易戦争」などで貿易協定や交渉の枠組みやルール自体が揺らぐ中で、「保護主義か、自由貿易か」という二項対立の議論がなされています。
 そんな中、日本は自由貿易の推進をどの国よりも強く推し進め、TPP11は2018年12月30日に発効しました。加えて、日EU経済連携協定も2019年2月1日に発効しています。さらに中国・インドを含むアジアの巨大な経済圏となるRCEP(東アジア包括的経済連携協定)についても、2019年中の妥結を目指して交渉中です。
 2010年以降に進められてきたメガ自由貿易協定は、農産物・工業品だけでなく金融や保険などのを含む幅広いサービス貿易、投資、知的財産権、電子商取引など多くの分野を含みます。また食の安全・安心や環境、労働者の権利などにも関わる規制緩和を伴う危険を常にはらんでいます。これら貿易協定の内容、そしてその交渉プロセスの非民主性はすでに国際市民社会から様々な形で問題提起がされていますが、日本ではこれら問題点について、政府・国会議員・市民社会にまだ十分理解が進んでいないのではないでしょうか。
 さらに、メガFTAの行き詰まりと米国の二国間通商政策により、日本やEUは「WTO改革」を模索しています。WTOは現状で160カ国が参加する唯一の国際的な多角的貿易協定の枠組みですが、常に先進国の都合で交渉分野が設定され、その意思決定プロセスも非民主的であることが、途上国側・新興国から批判されてきました。WTOの行き詰まりから生まれた二国間・地域間のメガFTAも問題であると同時に、WTOそれ自身にも大きな課題が残っています。こうした世界の貿易レジーム(体制)について、日本ではやはり十分な議論や方針が共有・議論されていません。
 こうした中、2019年6月28日・29日に大阪でG20サミットが開催され、自由貿易の推進やWTO改革は、その主要な議題の一つになっています。国際市民社会は、これまでもG20の際に、市民社会の知見や提言を首脳に届けるため、ホスト国の市民社会が中心となり様々な活動を行ってきました。日本では4月21日〜23日の3日間、「2019C20市民社会プラットフォーム」が主催するC(Civil)20」を開催します。これにあわせて多くの国際NGO、労働組合、市民団体が来日します。
 本集会では、その来日ゲストから貿易・投資協定の専門家のお二人をお招きし、日本の国会議員や市民と意見交換をいたします。お二人とも国際貿易全体の専門家ですが、折しもゲストの2人はともにこの間発効してきたメガ貿易協定の参加国からお越しになります。ドイツのユルゲン・マイヤー氏からは日EU経済連携協定についての欧州市民社会の分析・課題について、またオーストラリアのケイト・ラピン氏からは、TPP11とRCEPの問題についてお聞きできると思います。
 ぜひお繰り合わせの上、ご参加ください。

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日 時:2019年4月23日(火)17:00〜18:30 ※16:30より参議院議員会館ロビーでスタッフが入館証を配布いたします

会 場:参議院議員会館 1階102会議室 ※会場地図はこちら

参加費:無料 ※英日逐次通訳あり

プログラム
@ユルゲン・マイヤー氏
*日EU経済連携協定についての欧州市民社会の分析と課題
*「保護主義VS自由貿易」の対立を超えて〜持続可能な貿易のための国際市民社会からの提言〜

Aケイト・ラピン氏
*TPP11、RCEPについてのアジア太平洋地域の市民社会の分析と課題
*自由貿易協定が労働者、環境、人権にもたらす危険

B日本の国会議員・市民との質疑、意見交換

講師プロフィール

ユルゲン・マイヤー(Jurgen Maier/環境と開発のためのドイツNGOフォーラム代表)

1992年のリオ・地球サミット後に設立された、持続可能な開発に向け活動するNGOを統括する「環境と開発のためのドイツNGO フォーラム」代表。同フォーラムは、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)、生物多様性条約(CBD)、世界貿易機関(WTO)、 リオ・フォローアップ・プロセス (国連持続可能な開発委員会)、国連食料農業機関(FAO)、主要国首脳会議(G8)やその他の交渉の監視や、キャンペーン等を行う。これらの市民社会の活動により、ドイツでは多くの石炭火力発電所計画を中止させることに成功している。またユルゲン氏は、ドイツ・アジア基金の理事長(1993〜1996年)、ドイツ緑の党の国際秘書(1987〜1991年)を歴任。2007〜2011年には、持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議(RSB)の理事を務め、2004年からは、気候行動ネットワークヨーロッパ(CAN-E)の理事を務める。貿易・投資に関しては、TTIPやCETA、日EU経済連携協定への批判・提言活動を欧州全体にわたり展開してきた。

ケイト・ラピン(Kate Lappin/国際公務労連(PSI)アジア太平洋事務所 代表)
国際公務労連(PSI)アジア太平洋局のスタッフ。PSIは2000万人を超える世界の公共サービス従事者による国際的な労働組合であり、労働者の権利を害し、各国に必要な規制の範囲を制限する有害な自由貿易協定に反対している。またケイトは、貿易が女性の人権に与える影響に特に重点を置き、貿易正義(Trade Justice)の分野でも活動する。TPPやRCEPなどアジア太平洋地域での自由貿易協定の監視と提言を行っている。



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【共催】舟山康江事務所、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)、PSI(国際公務労連)

◆お問合せ◆
NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)
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