PARC TOP世界を知る学校13.連帯経済 地域自立と共生社会を創る

13.連帯経済 地域自立と共生社会を創る

 ネオリベラルな市場経済が世界中に浸透した現在、人間の権利や環境、公正・正義よりも利潤 追求が優先されています。しかしこうした既存のしくみや価値観にあらがい、人間らしく生き ていくために、人びとは立ち上がり、「連帯経済」といわれる活動を広げています。労働者・農民・ 消費者などの協同組合、市民がお金を循環させるNPO バンク、南北の公正な取引をめざすフ ェアトレード、貧困や社会的排除を解決するための共助システムの構想などです。
 ここでは、連帯経済の要素をいくつかのテーマにわけ、実践例と ともに理論的な考察をしていきます。国内外の事例から学び、共生と協同の考えに根ざした社 会の実現に向けてともに構想しましょう。

講座の内容
・2008年5月〜12月
・隔週木曜日19:00〜21:00
・全14回/定員30人
・受講料38,000円

日程

5月8日(木)
資本主義から市民主義へ
■岩井克人(東京大学経済学部教授)

現代の金融や「お金」のあり方、また企業と資本 の役割を根本から見直してみましょう。その上で、 新たな社会の基本設計図と「市民社会論」をとも に議論してみましょう。

6月5日(木)
連帯経済を可能にする分権・社会保障・ 財政改革のトータルプラン
■神野直彦(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)

市場原理主義と中央集権型政治はもはや限界に達 しています。地方自治、税制、社会保障体制等、 緊要の制度改革案を通して、絆で結ばれた「分権 型社会」「共生社会」への道筋を示します。

6月19日(木)
市民がお金を循環させ 信用に基づいた実態経済を創る
■向田映子(女性・市民信用組合設立準備会代表)

金融から遠ざけられてきた女性やNPO。その対 案として、市民がお金を出し合い、助け合って地 域経済を循環させ、社会を豊かにする事業に融資 を行う市民金融の実践についてお話しします。

7月3日(木)
SRI =社会にとって役立つお金の流れ
─日本と海外の事例から
■河口真理子(社会的責任投資フォーラム運営委員/大和総研経営戦略研究所主任研究員)

持続可能な社会構築にむけて、国際的に金融の役 割が見直されている。金融の資源配分機能に社会・ 環境への配慮を組み込むことで、持続可能な社会 構築が進むと考えられるからである。本講では持続可能な金 融の世界的動向について紹介する。

7月19日(土)午後
千葉県千葉市を訪ねる
地域で必要なお金とサービスを循環させる─地域通貨「ピーナッツ」の取り組み
■村山和彦(ピーナッツクラブ事務局)

99 年にスタートした地域通貨「ピーナッツ」は、商店街の活 性化だけでなく、商店街と農産物生産地域との連携や介護施 設立ち上げのバックアップなど数々の実りをもたらしていま す。商店街で恒例となった「第三土曜市」の日に訪問し、地 域通貨が実際にどのように活用されているのかを体験します。

7月26日(土)
埼玉県川越市を訪ねる
「蔵を生かすまちづくり」で 経済自立をめざす
■原 知之(NPO 法人「川越蔵の会」代表理事/ 川越一番街商業協同組合前理事長/ 陶舗やまわ代表取締役)

私はドル崩壊論最盛期の1970 年代にドル体制がいかにして国際防衛協力の下にその覇権を維持しえたのかを「体制支持金融論」という概念で体系化した学者。その異端が今を語る。

9月(日程調整中)
サブシステンス・エコノミーへの視点
─地域・生活・労働の視点からグローバル化を問う
■古田睦美(長野大学環境ツーリズム学部准教授)

食べ物や仕事、さまざまな家事労働……どれをと っても私たちの日常とグローバル化は密接に関わ っています。各地で実践されている地産地消の取 り組みについて、また持続可能な経済へ向けた発想の転換に ついてお話しいただきます。

9月11日(木)
人間の経済へ
─グローバル経済の暴走を食い止める
■本山美彦(福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授)

ネオリベラルな市場経済の実態とは何か。グロー バル経済の基本的なアクターとしくみを押さえた 上で、「その動きの抑制・規制」と「オルタナテ ィブの構築」という2つの方向性について皆さんで議論して いきましょう。

9月25日(木)
フェアトレードによって市場を公正化する
■長坂寿久(拓殖大学国際学部教授)

「新しいもう一つの形の貿易」を追求するフェア トレード運動は、途上国の農民・零細生産者の自 立、貿易構造の改革、消費者運動という3つの目 的を持っています。市場の公正化について議論しましょう。

10月23日(木)
自ら出資し共同運営でコミュニティに 貢献する新しいビジネスモデル
■藤木千草(ワーカーズ・コレクティブネットワーク ジャパン(WNJ)代表)

地域のニーズに応える事業を共同で起業するスタイルを紹介 します。こんなものがあればいいのに、あんなことがしたい な…あなたの周りにはどんなつぶやきがありますか?

11月8日(土)14:00-16:00
農村女性の新たな胎動
■理恵子(吉備国際大学社会学部准教授)

直売所や農家レストラン、加工品の開発・製造・ 販売など、農村女性たちの新たな取り組みが、農 村だけでなく日本社会変革の可能性を持つことを 事例に基づき話したい。

11月6日(木)
公共空間と共助システムの再構築
■宮本太郎(北海道大学大学院法学研究科教授)

社会的排除を乗り越え、連帯経済を実現可能とす る社会システムとはどのようなものか。ヨーロッパの社会福 祉・社会保障政策やそこに込められた政治的思想を知ること で私たちの社会における「共的スペース」の可能性を展望する。

11月22日-24(1泊2日)
山形県庄内町を訪ねる
市民がつくる暮らしのセーフティネット 「庄内医療生協」の実践
■伊藤眞知子(東北公益文科大学教授)

日本国内では地域間格差が増大しているといわれ ています。そんな中で、住民が地域の医療ネットワークを立 ち上げた山形県庄内町を訪問し、講師のお話を聞いた上で、 医療生協やNPO、医療法人の方々のお話を聞きます。人び との協同によって実現できたケアシステムを学びます。

12月(日程調整中)
基本所得(ベーシックインカム)運動・ ジェンダー・緑
■山森 亮(同志社大学経済学部教員)

基本所得(ベーシックインカム)とは、全ての人が権利として 生活に足るお金の給付を受けることができるという考え方で す。日本には最近「新しい」構想として紹介されていますが、 200 年近い歴史を持つ考え方です。今回は1970 年前後のイ タリア、アメリカ、イギリスの女性たちの運動のなかでこの 考えがどのように要求されたかを紹介したいと思います。

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