特集 1989→ 〜自由と民主化の神話〜
1989年11月の「ベルリンの壁」崩壊から20年。「自由と民主主義の勝利」と喧伝された政治的革命劇の後に現れたのは、世界をまたにかけ進行・席捲する経済革命であった。旧ソ連陣営を含む広範な世界市場の形成、世銀・IMF・WTOに象徴される高利貸し資本による囲い込み、賃金切り下げと資本家側に大きく偏った利益分配、生産基地や資本の自由移転による利潤の最大化。ポスト冷戦期は、グローバル資本主義の時代であり、軍事拡張と戦争がその構造を下支えした。グローバル資本主義が金融恐慌という挫折を経験した現在、特集では20年の変化を象徴する諸地域にフォーカスしつつ、それらの相互関係から全体像を浮き彫りにし、問題の所在を書き換え、予測不能な未知との出会いを発見していく。
- 対談 的場昭弘×丸川哲史
- ブルガリア―取り残される「破綻国家」 佐原徹哉
- アフガニスタン─なぜ、タリバーンが支持されるのか 谷山博史 ◇
- 冷戦/ポスト冷戦とアフリカの人びと、そして日本 舩田クラーセンさやか
- 矛盾を深めゆく「ユダヤ人国家」─パレスチナ/イスラエル問題における「一九八九年」の転換点 早尾貴紀
- バリケード追憶 胡 冬竹