あらゆるものがお金でやり取りされる世の中で、土地・水・森の売買もかつてない勢いで行われている。そしてグローバリゼーションの下、巨大な資本が世界を駆け回り、土地やそこで生み出される穀物・水・森などの天然資源の争奪戦が国際的に繰り広げられているのである。
そのなかで、それぞれの土地に住む農民や漁民、貧困層は生業や暮らしの場を奪われ、さらなる貧困状態に追いやられている。資源争奪に伴い、環境破壊も深刻である。その背景には、先進諸国あるいは中国・韓国・インドなどの経済成長期にある国々の思惑、そして人びとの暮らしや環境よりも利潤を追求する市場経済の仕組みがある。
この問題は遠い国の問題ではない。日本はいま、奪う側だけでなく、奪われる側にもなろうとしている。資源争奪戦は私たちの身近な問題であり、もはや軽視できない。
本特集では、現在進んでいる資源争奪の現実を、データに基づき紹介するとともに、土地・水を奪われる側の途上国における人びとの生活の変化や被害の実態を明らかにする。また、それらを通して土地・水などの資源争奪の主体とその背後にある構造に光をあてる。