特集 そこは誰のものか?−「国家」と「領土」と人びとの暮らし
尖閣諸島、北方領土、竹島/独島… 近年、各国からすれば「辺境
」に位置するこれら島々の領有権をめぐり、日本と近隣国との間で政
治的緊張が高まっている。背景には、海洋資源や制海権の問題だけで
なく、格差拡大に対する人びとの不満の矛先を国外に向けさせたい各
国の思惑も絡んでいると思われる。
領土問題は、各国のナショナリズムを刺激し、武力紛争さえ引き起
こす危険をはらんでいる。私たちは、領有権をめぐって各国が主張す
る「史実」をそれぞれ確認しつつも、それだけにしばられることなく、
共存の道を探っていく必要がある。
それには、これら「辺境」の島々と、そこに住む人びとの目に、領
有権を主張している現代の「国家」がどのように映っているのかとい
う視点から、この問題を考えておくことも大切だ。これら島々は、周
辺に近代国家が形成されていく過程において、いずれかの「国家」へ
の帰属を暴力でもって余儀なくされてきた歴史を共有している。
また、その歴史は近代国家の理屈で地球上に人工的に線を引き、
「領土」の所有者を区別する歴史でもあった。もともと線の存在しな
い場所に線を引き、曖昧に定義されていた共有財産(コモンズ)を区
分してしまうことで人びとは分断され、交流の機会を失い、今日まで
に幾度も対立をしてしまった。
そこで今、「国家」の都合ではなく、そこに生活してきた人びとの
目線から領土問題を捉え直すことで、領土問題をめぐる論議に新たな
地平を見いだすことができるのではないだろうか。
(編集部)
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- アイヌ民族の土地の「領土問題」には
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