PARC TOPオルタ2011年3・4月号

2011年3・4月号

  • A4版変形 56頁 800円+税
 2011年3・4月号

特集 そこは誰のものか?−「国家」と「領土」と人びとの暮らし

 尖閣諸島、北方領土、竹島/独島… 近年、各国からすれば「辺境 」に位置するこれら島々の領有権をめぐり、日本と近隣国との間で政 治的緊張が高まっている。背景には、海洋資源や制海権の問題だけで なく、格差拡大に対する人びとの不満の矛先を国外に向けさせたい各 国の思惑も絡んでいると思われる。
 領土問題は、各国のナショナリズムを刺激し、武力紛争さえ引き起 こす危険をはらんでいる。私たちは、領有権をめぐって各国が主張す る「史実」をそれぞれ確認しつつも、それだけにしばられることなく、 共存の道を探っていく必要がある。
 それには、これら「辺境」の島々と、そこに住む人びとの目に、領 有権を主張している現代の「国家」がどのように映っているのかとい う視点から、この問題を考えておくことも大切だ。これら島々は、周 辺に近代国家が形成されていく過程において、いずれかの「国家」へ の帰属を暴力でもって余儀なくされてきた歴史を共有している。
 また、その歴史は近代国家の理屈で地球上に人工的に線を引き、 「領土」の所有者を区別する歴史でもあった。もともと線の存在しな い場所に線を引き、曖昧に定義されていた共有財産(コモンズ)を区 分してしまうことで人びとは分断され、交流の機会を失い、今日まで に幾度も対立をしてしまった。
 そこで今、「国家」の都合ではなく、そこに生活してきた人びとの 目線から領土問題を捉え直すことで、領土問題をめぐる論議に新たな 地平を見いだすことができるのではないだろうか。
(編集部)

  • 尖閣諸島をめぐる日中関係
     /田岡俊次
  • ファジー国家中国
     /辻康吾
  • 切り裂かれた民族―ナガランドが突きつける滑稽な現実
     /南風島渉
  • 大国の領土争いに巻き込まれる少数民族
     /竹尾茂樹
  • アイヌ民族の土地の「領土問題」には
     /上村英明
  • 領土ってなんだ―占有でなく、共有のシステムこそ
     /柴田鉄治
  • ふしぎな不思議な国境線
     /世界飛び地領土研究会

特別記事

  • 市民一人一人の力で占領政策を変えていく
      ―「STOP!! 無印良品」アクションの勝利を振り返る
      /田浪亜央江

  • イスラエル・パレスチナ間の問題を
        ユダヤ教とイスラム教の争いにしないために
      /キンバリー・ヒューズ

  • 金融システムを通じた新しい社会運動の可能性
    /土谷和之

  • 鎌仲ひとみ監督特別インタビュー

  • 連載

    • 湯浅誠の反貧困日記 湯浅誠
    • 隣のガイコク人 取材・文/大月啓介(ジャーナリスト)
    • ゆらぐ親密圏−<わたし>と<わたし・たち>の間 海妻径子
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