地上波のテレビ放送は、二〇一一年七月から完全にデジタル化される。
それに向けて二〇一〇年末までに購入されたデジタルテレビの数は、なんと
六七〇〇万台。その分大量のアナログテレビが廃棄されたことだろう。
こうした使用済み家電製品の廃棄物は通称「電子ごみ」と言われ、鉛や水
銀などの有害物質が含まれているため、適切に処理されなければならない。
テレビ以外にもエアコンや洗濯機、冷蔵庫、パソコンなどが含まれる。
そこで日本には、家電リサイクル法と資源有効利用活用法に基づくリサイク
ル制度があり、これらの電子ごみを安全に処理する仕組みが整っている。とこ
ろが、二〇〇九年に破棄された、家電リサイクル法の対象となる電子ごみは二
八〇九万台。それに対して国内のリサイクル工場で処分されたのは一七五二
万台。約三分の一の電子ごみはどこへ消えたのか? 調べてみると、国内では
処理に「多額の費用がかかる」電子ごみが、海外に「売られて」いる現実が見え
てきた。
一体その「輸出」された電子ごみはどこでどのように処分されたのか? 日本に
は適正処理の仕組みがあるのに、どのように流出していったのか?
私たちの手元を離れ、世界をめぐる電子ごみの行方とそのビジネスの内情を
明らかにする。
(編集部)