1970年代、80年代、そして90年代と原子力発電の危険を訴え、
停止を求める運動はいくつも行われてきた。
山口県上関原子力発電所予定地付近の祝島をはじめとして、
今まだ抵抗を続け、原子力発電所の建設・運転を防いでいる地域もあるが、
日本全体としては原発推進の方向に動いてきてしまったのは明らかだ。
それには強力な業界ロビー、電力と権力の癒着など、
様々な力学が主要因として働いてきたが、
私たち自身が十分に問題意識を内面化し、
理論武装することが不十分であった側面も否定できない。
そして、誰もが事故の可能性を認識しつつも、
「そう簡単には起きやしないだろう」思いこんでしまっていた中、
今回の事故が起きてしまった。
被災者の心情は想像するにあまりある。
今も多くの人が命を危険にさらされている。
もう二度とこのような事態を引き起こさないために、
今度こそ本気で脱原発を目指す。
本特集では、原発を止めるべく活動を続ける活動家の声、
理論的に原発の問題点を指摘してきた研究者、
そして被災の現場からの声を紹介し、
脱原発を目指すための問題意識を深め、理論武装を整える。