2010年12月17日にチュニジアで失業中だった26歳の男性が抗議の焼身自殺を図ったことをきっかけに始まったチュニジアの民衆による抗議行動から一年が経過した。連動してか否か、民衆行動は瞬く間にアラブ世界で盛り上がり、エジプト、リビア、シリア、バーレーンなどでも民衆による抗議行動が発生した。その後、抗議行動を受けて首脳が辞任した国や姿をくらました国、抗議行動が弾圧された国など、一年経った時点での結果は様々である。
しかし、それらの抗議行動は一体何をもたらしたのだろうか?
独裁者がいなくなることで国は変わったのか?
人びとを苦しめていた問題は解決したのか?
むしろ現状は一部の独裁者を排除したという政治的なゴールを一つ達成したに過ぎず、若者の雇用や食糧価格、マイノリティの政治的排除など民衆蜂起が起きる背景を作った社会課題まだまだ解決に程遠いのではないか?
2010年12月以前の各国のおかれた状況も、現在の状況もそれぞれに異なる。また、情勢は二転三転している中で、総論を述べるのは困難だが、リビア、チュニジア、エジプトなど各国にとっての「アラブ革命」のもたらしたものと各国のおかれた現状を振り返り、分析する。
(編集部)