ここ数年の間に世界で、「連帯経済」という言葉をよく耳にするようになりました。
この言葉は、21世紀におけるグローバリゼーションの進展に対応して、市民社会運動の側が2001年以降、毎年開催している「世界社会フォーラム(World Social Forum:WSF)」で用いられ始め、中南米、EUを中心にして国際的に急速に広がっています。
経済のグローバリゼーションは、世界のごく少数に富を一極集中させる反面、随所で貧困層を増やし、人権を蹂躙し、環境の破壊をすすめています。市場経済化、自由化、開放経済化、そして「小さな政府」化の流れがすすむと同時に、世界大で「市場の失敗」と呼ばれるような格差の拡大、地域経済の沈下、天災や異常気象が絶えません。これら経済社会の歪みは、小さき者/弱い者へとさらなる負担を押しつけ、そこから戦争、紛争も絶えず起こってきています。まことに世界は残念ながら、平和からほど遠い状況にあります。
こうした状況に対して、市民社会の側から提起されてきた市場経済の「失敗」チェックの概念が「連帯経済」です。「連帯経済」は、政府や市場に対して透明性、説明責任を監視し、政府に対しては公共政策、企業に対しては社会的責任の実行を促しています。他方で、市民社会の分野で社会的企業、コミュニティ事業、フェアトレード、NPO、市民金融、地域通貨、環境保全等の非営利活動をすすめ、自ら地域社会の民主化を通じた地域再生や雇用創出、人材育成、ジェンダー平等、そしてグローバル化時代に増大する外国人や「弱者」とされた人びとの社会的包摂と人権強化等の担い手として、経済社会活動の新たな展開をすすめています。
連帯経済にはさまざまな要素・活動が含まれます。ここではいくつかのトピックにわけてご紹介します
★社会的企業