チベット騒乱、四川大地震、北京五輪開催……。“改革開放30年”の2008年は、世界に中国を伝える節目の一年であった。とりわけ今年にかけての世界金融危機では、その回復過程において、大陸中国の巨大資本/市場の存在の大きさと、中国への覇権移動が鮮明に表れた。一方、台湾(中華民国)でも、2008年5月の総統選で、大陸中国との関係強化を図る馬英九・国民党政権が誕生。両岸接近が加速度的に進行しつつある。台湾・香港・自治区を含む“中華世界”の新たな再編は、日本や朝鮮半島を含む周縁部に複合的な軋轢を刻みつつ、世界史転換の到来を告げている。ポスト冷戦と現実の間で揺れる東アジア、そして世界の構造転換を読む。