特集 中華世界―21世紀の転換点
チベット騒乱、四川大地震、北京五輪開催……。“改革開放30年”の2008年は、世界に中国を伝える節目の一年であった。とりわけ今年にかけての世界金融危機では、その回復過程において、大陸中国の巨大資本/市場の存在の大きさと、中国への覇権移動が鮮明に表れた。一方、台湾(中華民国)でも、2008年5月の総統選で、大陸中国との関係強化を図る馬英九・国民党政権が誕生。両岸接近が加速度的に進行しつつある。台湾・香港・自治区を含む“中華世界”の新たな再編は、日本や朝鮮半島を含む周縁部に複合的な軋轢を刻みつつ、世界史転換の到来を告げている。ポスト冷戦と現実の間で揺れる東アジア、そして世界の構造転換を読む。
- 両岸関係の進展と中華世界の今後 丸川哲史
- 国共和解の衝撃 劉 傑
- アンビバレントさの向こう側へ 本田親史
- もうひとつの「希望は、戦争」 五十嵐泰正
- 独立電影と「民間」の台頭 麻生晴一郎
- 金融危機後の中国経済 丸川知雄
- 中国農業の基本問題を考える 厳 善平
- 強烈な「地方文化」の存在 香港特別行政区 谷垣真理子
- 中国の経済成長と東南アジア大陸部への影響 メコン・ウォッチ