PARC TOP調査・研究水研究会

水研究会

21世紀は水をめぐる戦争の時代になるといわれています。水と人間をめぐる環境は変化しており、地球規模で何らかの対策を講じていく必要があります。しかしこのことは、何か規制を講じればよいという問題ではすまされません。水問題の考察は、私たちの日々の食事や生活スタイル、森林問題からダム、工業生産や農業にいたるまでを含んでいます。

PARCは2004年に水問題研究会を開始し、水問題を考えるために淀川水系を歩き、熊本や山梨の湧水地を訪ね、水不足に苦しむインドの農民を訪ね、ジャカルタやマニラの水道水の民営化でゆれる現場を訪ね、タイの農村で輸出用作物に水が奪われる現場や流域保護の住民たちの協力を見てきました。そこには、水不足という現実と、水の民営化・商品化等の水ビジネスに乗り出す大企業の動き、そして水という自然資源をめぐる争奪戦が浮かび上がってきました。

2002年11月、国連経済文化社会的権利委員会は、「水へのアクセスは一つの人権である」と宣言し、水は単に経済的財物であるだけでなく、社会的・文化的な公共財であると表明しました。 同委員会が強調したのは、「経済社会文化的権利に関する国際条約」を批准した145か国には今、きれいな水に「公平に差別なく」アクセスすることを漸次保証していく義務があるということです。 委員会声明では、水は「限りある天然資源で、生命と健康との基礎となる公共財」であるとして、その公益的な性格を明確に規定しています。

世界保健機関(WHO)事務局長のグロ・ハーレム・ブルントラント女史は、「水は人権の一つである」とする宣言は、「水と衛生は健康に必須となる2つの前提条件であり、これにアクセスできない人々の数を2015年までに半減させるという国連総会のミレニアム開発目標を達成するための取り組みを促進する大きな材料となる」と語りました。「水に対する人権とは、すべての人々に対して、個人や地域において十分に、手ごろな価格で、実際に水にアクセスでき、安全で飲用できる水を確保できる権利を確約するものであり」、「各地域の文化によって水の用途は異なるが、脱水症状による死を防止し、水に関連する疾病の危険性を軽減するとともに、飲用や料理用、個人や地域での利用などに必要な衛生条件を満足するためには、適切な量の安全な水が必要となる。」と、委員会報告書では述べています。

一方、日本は水利権の確立や公営水道の維持を含め、すぐれた経験をもってきましたが、今「水はお金を出して買うもの」という考えがペットボトルという形をとって当たり前になってきました。しかし日本の水道水の安全性は高く、必ずしもペットボトルの水が安全というわけではありません。私たちは商品化した水を知らないうちに「買わされている」のかもしれません。

この研究を通して、「水は地球の公共財」という考えを改めて取り戻し、地域住民の手による水の管理や、すべての人の水へのアクセスを保障することの必要性が改めて見えてきました。

研究会での調査内容は、『水は誰のものか』と、『ペットボトルの水』と題したPARCビデオや、雑誌『オルタ』の特集「水の自由化・商品化を考える」(2006年6月号)にまとめました。 ぜひ調査の成果をご覧ください。
※本研究会は地球環境基金からの受け実施しました。

水研究会


【調査の成果物】
水は誰のものか
 PARCビデオ
 『水は誰のものか』
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ペットボトル
 PARCビデオ
 『ペットボトルの水』
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オルタ
 雑誌『オルタ』特集
 「水の自由化・商品化を考える」(2006年6月号)
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