特集 水の自由化・商品化を考える
先進国に暮らす私たちにとって、蛇口をひねれば清潔な水が出てくるのは当然のことであり、さらにおいしい水を得るためにペットボトル水を買うことも珍しくありません。しかし、人類が利用できる淡水の総量は急激に減り続けており、石油よりも貴重な天然資源となった水は、ビジネスチャンスの対象となって、グローバル市場で売買される「商品」へと変貌しつつあります。多国籍企業は途上国の水道事業を経営し、生命の源であるはずの水の供給や料金について決定権を握っています。そうして、水という利権で大金持ちになる人びとがいれば、一方でその供給を絶たれて生存の危機に晒されている人びとがいるのも事実です。
特集では、水がいかにして企業の商品=私物とされているのか。そして水を奪われた人びとはそれにどう立ち向かっているのか。水を誰もが安く手に入れられる共有財とするために、いかなる仕組みが望ましいのかについて考えていきます。
- ペットボトルが問いかける未来―岐路に立つウォータービジネス 井上礼子
- コカコーラ社がインド農民の水を奪う 普川容子
- 水道民営化は何をもたらしたか―反転する公共性 長瀬理英
- 「民衆の権力」と水、そしてコモンズ 中野憲志
- 民営化の恩恵という幻想 デヴィッド・ホール、エマニュエル・ロビナ
連載
- グラビアpeople's Eye16 フレッド・ロバート マダガスカル 秘境の島の風に吹かれて
- わたしの平和論5 武田隆雄
- 生活日録 南アフリカ1 津山直子
- 今ヨムこうヨム時代の書3−立花隆『田中角栄研究』 高田昌幸
- 東ティモール通信34 伊藤淳子
- せかいの体に効くハナシ3「アフリカの昆虫食」 八木繁実
- ワールドインフォ
- オルタの本棚 書評『進化する国際協力NPO―アジア・市民・エンパワーメント』 評者:佐久間智子
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