先進国に暮らす私たちにとって、蛇口をひねれば清潔な水が出てくるのは当然のことであり、さらにおいしい水を得るためにペットボトル水を買うことも珍しくありません。しかし、人類が利用できる淡水の総量は急激に減り続けており、石油よりも貴重な天然資源となった水は、ビジネスチャンスの対象となって、グローバル市場で売買される「商品」へと変貌しつつあります。多国籍企業は途上国の水道事業を経営し、生命の源であるはずの水の供給や料金について決定権を握っています。そうして、水という利権で大金持ちになる人びとがいれば、一方でその供給を絶たれて生存の危機に晒されている人びとがいるのも事実です。 特集では、水がいかにして企業の商品=私物とされているのか。そして水を奪われた人びとはそれにどう立ち向かっているのか。水を誰もが安く手に入れられる共有財とするために、いかなる仕組みが望ましいのかについて考えていきます。