すべての生き物の命は、自然の巧みな循環に支えられています。人が手を加えなくても更新を繰り返す森、森の落ち葉を分解する微生物、分解によって発生する栄養分を運ぶ川、その水が育む稲や汽水域のプランクトン、プランクトンを食物連鎖の底辺として命をつなぐ魚や貝――。川を上る鮭は、海に溢れすぎれば害になる栄養分を陸に返しています。
しかし、この循環は断ち切られてきました。干潟を埋め立てた土地に立ち並ぶ工場、川や海を固めるコンクリート、流れをせき止めるダムや堰――。時代はそれを「開発」と呼びました。木材の生産地に変えられた山は、外材の輸入によって荒廃に追い込まれ、田畑には農薬や化学肥料が撒かれました。海にも、山にも、里にも、生産性と効率の論理が持ち込まれたのです。
私たちは、岩手・岩泉、一ノ関・室根、四国・吉野川流域の森と農村、宮城・気仙沼の海、東京湾にわずかに残った干潟・三番瀬を訪ね、山に、里に、海に生きる人びとの言葉に耳を傾けました。そして、自然の循環の中に営みを位置づける考え方に出会いました。
世界中で自然資源が失われつつある今、人と自然とのかかわり、営みと営みとのつながりを考えます。
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英語版完成! English Information
- 作品に登場する方がた
工藤宏太(家具職人・岩泉純木家具代表取締役)
熊谷博之(農林業・元新月ダム建設反対期成同盟事務局長)
畠山重篤(牡蠣養殖業・「牡蠣の森を慕う会」代表)
大野一敏(漁業・船橋市漁業協同組合組合長)
小野寺 寛(農業・ひこばえの森水車村村長)
- 構成
1.人が変えた自然
人は自然に何を見たのか
埋められた干潟、変えられた豊穣の海
2.断ち切られたつながり
農業基本法と国民所得倍増計画
拡大造林と輸入される木材
3.森と川の役割
山の土と保水力
増えていったダム
山と海をつなぐもの
つながりの意識が変えたもの
山を生かすために
4.つながりの中に生きる
落葉広葉樹林文化を生きる
江戸前の漁場、三番瀬
人びとの選択
- VHS/35分(予定)
- DVD/35分(予定)
- 本体8,000円+税(図書館価格:本体16,000円+税)
- 英語 :
途上国 本体$20(2,000円)+税
先進国 本体$60(6,000円)+税
*図書館価格はそれぞれ倍額です
※資料集、作品中の図表をダウンロードできます。