1997年12月、京都で開催された気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)の場で京都議定書が採択された。その運用ルールをめぐって長い間議論が重ねられ、その間アメリカが議定書から離脱するなど紆余曲折を経たが、2005年2月にようやく発効した。京都議定書は、無料で温室効果ガスを排出できなくすることで同ガスの削減をはかる取り決めとして、人類史上画期的なものである。各国が削減のための重要な手段としているのが、同議定書で定められている市場制度を活用した京都メカニズムである。 今回の特集では、市場制度の活用でほんとうに温室効果ガスは減少するのかについて検証していく。まず京都メカニズムについての基礎知識を得たあと、排出削減を具体的に検証する。次に、実際に名古屋で始められている排出量取引について学ぶ。最後に、途上国の視点から京都メカニズムを評価する一環として、インドにおいてこれがどう機能しているかを学ぶ。