特集 タイとビルマ 民主主義の行方
1997年のアジア通貨危機以降のタイは、経済的には「構造改革」に伴う安定ぶりが、政治面では民主主義の定着が国際的に高く評価された。一方で経済を牽引する都市中間層と、背後に存在する大多数の見えざる貧困層の格差は、国内における分裂を徐々に深化させていった。 一方、隣国のビルマ(ミャンマー)は、80年代後半から90年代初頭にかけての民主化運動の挫折を今なお引きずり、旧態依然たる軍事政権の失政と無策、欧米による経済制裁などにより少なからぬ人びとの生活が深刻な危機に晒され続けている。06年の秋、「成長の優等生」とされてきたタイでクーデターが勃発し、ビルマでは国連安保理がビルマ問題の公式議題採用を決定。同じ東南アジアの隣国同士でありながら様相を全く異にする両国であるが、それぞれの「民主主義」をめぐる動向が注目されようとしている。
- ロープ際の民主主義 ウォールデン・ベロー
- 劇場型政治時代のクーデター 浅見靖仁
- 紙くずになった民衆版憲法 岡本和之
- 遠のく和平、閉ざされる希望 宇田有三
- 母国では、日本では――ビルマ国籍者の難民認定申請を考える
- 孤立を深めるビルマの軍事政権 根本 敬
- 「圧制」を生きる人びと 写真/山本宗補
- 国際的水力開発は何をもたらすか 秋元由紀
- ビルマの刑務所問題 箱田 徹
連載
- グラビアpeople's Eye21 チェチェン 抵抗の破片をかき集めて 林 克明
- わたしの平和論(10) 戦争は「魅力的」か? 上野千鶴子
- 今ヨムこうヨム時代の書(8)―沢木耕太郎著『テロルの決算』 鈴木邦男
- 生活日録 ブラジル(1) 高橋直子
- ジャフナ通信(15) 小野山亮
- せかいの体に効くハナシ(8) 岡島瑞徳
- ワールドインフォ
- オルタの本棚
- 城のドレイのマイルール