1997年の末に韓国が経済危機に直面してから10年が経過した。その後、金大中から盧武鉉に至る革新政権の誕生と、IMF主導の「改革」により、韓国は急速な変化を経験した。経済的には驚異の回復を見せたとも言われたが、財閥を中心とした経済システムの解体や外資による投資の集中、整理解雇制導入による失業率の上昇は、日本に勝るとも劣らない、格差/貧困の増大をもたらした。経済問題、社会的不平等は盧武鉉政権や革新勢力に対する失望となって跳ね返り、社会の分裂は深刻である。政治・経済・文化をまたぐ急速な変動、ナショナリズム論争、386世代と新世代の比較などを通して韓国社会の10年を振り返る。