パレスチナのヨルダン川西岸地区の「ヨルダン渓谷」と呼ばれる地域で、いま、日本政府による“和平促進”のプロジェクト、「平和と繁栄の回廊」構想が動き出している。主要には、中東和平の当事者ではない日本が「仲裁役」を務め、当該地域の平和と安定に貢献し、中東における政治的なプレゼンスを得ようというものである。
一方、西岸地区の約3割を占めるヨルダン渓谷は、オスロ合意後もイスラエルの完全な支配下に置かれた、いわゆる「C地区」であり、これまでほとんど報道がされてこなかった地域だ。我々の税金は和平に役立つのか。舞台となるヨルダン渓谷の実情や構想が孕む問題点を検証する。