80年代米国が掲げた知的所有権の保護政策は、製薬企業の社会貢献を希薄化し、特許に基づく、巨利追求の一大産業へと変貌させた。多くの製薬企業は「研究開発」機能を縮小しつつ、それらの大義名分を騙りながら高利潤を確保し続けている。
その原動力となったのがマーケティングの支配であり、大量の広告宣伝費を投入しての「病気の売り込み」や薬漬け医療への誘導、ジェネリック薬の締め出しなど、人々の生存を蝕む存在と化した製薬企業は、強い批判に晒されてきた。新薬開発の停滞や特許の期限切れなど、深刻な危機に直面するなか、商品としてのクスリ=市場モデルのあり方が根底から問われている。